行雲流水の如く

 梶浦直樹の日々雑感

鮭の逆襲。

八月二十一日(晴)

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三時半に準備を始め、四時前に開始。外はまだ暗い。暗いうちに投げるとどこにも飛んだのか分からない。五時くらいにウトウトとなり、我慢できずに落ちてしまった.恐らく數十分だろうか、ぼーっとしながら目が覚める。よしやるぞと竿を確認した。ところがどう数えても竿が一本足りない。おかしいなと思い投げた竿のところに行くと竿がない。下を見ると竿盾が倒れている。寝ぼけていたこともあり最初は何が起きたのか理解できなかった。呆然として少しして気づく。鮭が掛かり、そのまま竿を引っ張っていったようだ。竿には鈴をつけていないのでまったく気づかなかった。初めは椅子の横に竿盾を刺していたが、抜いて波打ちの手前に竿を立ててしまった。動かさないで椅子の横に立てておけば気づいただろうがとんだ大失態をしでかした。三十年前くらい前に買ったいい竿だった。後悔は後にはたたない。悔やんでも仕方がないので結局三本で勝負となる。

外は明るくなり六時過ぎ、横の若者に雄の鮭が掛かった。それを見るとやる気が出てくる。見渡すと浜全体では若者の一本しかあげていない。それでもいるのが分かるとやる気が出るものだ。しかし鮭の姿を見たのは若者の一本のみ。そして私の竿を持っていった鮭だけ。水温が高いのもありやはりまだ早いか。そのうち周りは諦めて帰ってゆく。昼まで投げていたが場所を数カ所移動し、白老は北吉原に試し打ちすることにした。

そこへ毎朝やっているという地元のじいちゃんが来た。この場所は良いらしいが朝だけど言っていた。じいちゃんに浜での話をすると、竿から離れたらやられるからずっと側で見ていないとダメだよと言っていた。実は三十数年前もテトラ越しでやっていたら竿を持っていかれたことがある。竿はそのまま沖まで引きずられて行き、しばらくすると岸に向かって戻ってきた.それを仲間数人で仕掛けを投げてやっと回収し、餌を見るとやはり食われていた。まさか同じことが起きたとは。

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夕まずめを狙い、四時まで粘ったがアタリなし。撤収して札幌に戻る。もし寝ずにいたらどんな鮭だったのだろうかと頭から離れない。きっと気性の激しい鮭だったのだろうか。なんだも海面を眺め、戻ってこないだろうかと願ったが戻ってくることはなかった。車は埋まり、別の埋まった車を助け、その助けた我々が釣れず、助けられた若者が釣るのだから釣りは奥が深い。散々な釣りだった。